Deep Dive 02
Bear / Base / Bull シナリオの引き方
単一の予測ではなく、複数のシナリオを置いてレンジで評価する。楽観・悲観の根拠を明確にする。
なぜシナリオ分析が必要か
将来のキャッシュフローを予測する際、「確実にこうなる」という単一の予測はありえません。経済環境、競合動向、新製品の成否など、不確実な要素が多く存在します。
シナリオ分析では、複数の可能性を明示的に想定し、それぞれの前提を言語化します。これにより「この株価は何を前提にしているか」を理解しやすくなります。
Bear 前提
内部資金ベースの成長
- 成長率: 3.5%(業界下限)
- 営業利益率: 12%(過去下限)
- 再投資: 内部留保の範囲
- WACC: 6.5%(リスク上乗せ)
Base 前提
現状トレンドの延長
- 成長率: 5.5%(5年平均)
- 営業利益率: 14%(直近実績)
- 再投資: 過去平均並み
- WACC: 5.8%(算出値)
Bull 前提
外部調達込みの拡大
- 成長率: 8.0%(シェア拡大)
- 営業利益率: 16%(規模効果)
- 再投資: 増資・借入を含む
- WACC: 5.5%(低リスク評価)
Bear(保守的シナリオ)
競争激化、景気後退、コスト増など、ネガティブな要因が重なった場合を想定します。成長率は業界平均以下、マージンは過去の下限付近を置きます。
内部資金の範囲での成長を前提に、外部調達(増資・借入)による拡大は見込みません。WACCはリスクを上乗せして高めに設定することもあります。
Base(中立シナリオ)
現状のトレンドが継続すると仮定します。過去3〜5年の平均成長率・マージンを延長し、経営陣のガイダンスや中期経営計画がある場合はそれに近い前提を置きます。
最も「ありそうな」シナリオとして、評価の中心に位置づけます。
Bull(楽観シナリオ)
新規事業の成功、シェア拡大、価格決定力の向上など、ポジティブな要因が実現した場合を想定します。成長率は業界平均を上回り、マージンは改善方向。
外部調達を含めた積極投資で成長を加速させる前提です。WACCは低リスク評価として低めに設定することもあります。
シナリオの根拠を言語化する
「なぜその数字か」を説明できないシナリオは使えません。以下の点を確認し、前提を開示します:
- 業界データ: 同業他社の成長率・マージンの分布
- 過去実績: 自社の過去5〜10年のレンジ
- 経営計画: 中期経営計画との整合性
- マクロ環境: 金利・為替・景気サイクルの影響