Method 02

マルチプル法(類似企業比較法)

同業他社の株価倍率を参考に、妥当な株価水準を推定する。市場の「相場観」を反映した相対評価。

マルチプル法の考え方

マルチプル法は、類似企業の株価倍率(マルチプル)を参考に、対象企業の妥当な株価を推定する手法です。「同じような企業が市場で何倍で評価されているか」を基準にします。

DCF法が「絶対評価」であるのに対し、マルチプル法は「相対評価」です。市場の相場観やセンチメントを反映するため、実務では両方を併用することが一般的です。

企業時価総額PEREV/EBITDA
競合A¥180B14.2x8.8x
競合B¥95B12.8x7.5x
競合C¥210B15.6x9.2x
中央値—14.2x8.8x
対象企業に適用
中央値 PER 14.2x × EPS ¥290
妥当株価¥4,118

代表的なマルチプル

PER(株価収益率):株価 ÷ 1株当たり純利益。「今の利益の何年分の株価か」を示す最もポピュラーな指標。

EV/EBITDA:企業価値 ÷ EBITDA。資本構成(負債比率)の影響を排除した比較が可能。M&Aでよく使われる。

PBR(株価純資産倍率):株価 ÷ 1株当たり純資産。資産価値に対する評価を示す。金融機関の評価でよく使われる。

ピア選定の重要性

マルチプル法の精度は「どの企業を比較対象にするか」で決まります。以下の観点で類似企業(ピアグループ)を選びます:

  • 事業内容: 同じ製品・サービスを提供しているか
  • 成長率: 売上・利益の成長ステージが近いか
  • 収益性: 利益率の水準が近いか
  • リスクプロファイル: 地域・顧客基盤のリスクが近いか

マルチプルの解釈

マルチプルが高い=割高、低い=割安、とは限りません。高成長企業は高いマルチプルで正当化される場合があります。

重要なのはなぜその倍率なのかを考えること。ピアとの差異が成長性・収益性・リスクの違いで説明できるか確認します。

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