Deep Dive 01

財務諸表からFCFを導出する

DCFの入力となるフリーキャッシュフロー(FCF)は、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書から組み立てる。

フリーキャッシュフロー(FCF)とは

フリーキャッシュフロー(FCF)は、企業が事業活動から生み出した現金のうち、株主と債権者に自由に分配できる部分を指します。「自由に使える現金」という意味で「フリー」と呼ばれます。

会計上の利益(純利益など)とFCFは異なります。利益には減価償却費のような非現金費用が含まれ、また設備投資や運転資本の増減は利益に直接反映されません。DCFでは「実際に手元に残る現金」を見るため、FCFを使います。

営業利益(EBIT)
¥200M
−
税金(実効税率30%)
−¥60M
=
NOPAT
¥140M
+
減価償却費
+¥50M
−
設備投資(CapEx)
−¥55M
−
運転資本増加
−¥15M
=
フリーキャッシュフロー
¥120M
データの出所
営業利益PL(損益計算書)
減価償却費CF計算書 or 注記
設備投資CF計算書(投資活動)
運転資本BS(売掛・棚卸・買掛の増減)

Step 1: 営業利益からスタート

損益計算書(PL)の営業利益(EBIT: Earnings Before Interest and Taxes)を起点にします。これは本業で稼いだ利益であり、金融収支(支払利息など)や特別損益を含みません。

Step 2: 税金を引いてNOPATに

営業利益に実効税率をかけて税金を差し引きます。これがNOPAT(Net Operating Profit After Tax: 税引後営業利益)で、株主と債権者の両方に帰属する利益です。

なぜ純利益ではなくNOPATを使うのか?——負債の利息は債権者への支払いであり、DCFでは株主と債権者を合わせた企業価値を計算するため、支払利息控除前の利益を使います。

Step 3: 非現金費用を足し戻す

減価償却費は会計上の費用ですが、実際に現金が出ていくわけではありません。キャッシュフローを見るために足し戻します。

同様に、無形資産の償却費やのれんの減損損失なども、非現金費用として足し戻す対象になります。

Step 4: 再投資を差し引く

設備投資(CapEx: Capital Expenditure)と運転資本の増加分を引きます。これらは事業を維持・成長させるための現金流出であり、株主・債権者に分配する前に必要な再投資です。

設備投資はキャッシュフロー計算書の投資活動セクションから、運転資本の増減は貸借対照表の売掛金・棚卸資産・買掛金の前期比較から算出します。

データの出所まとめ

FCF計算に必要なデータは、以下の財務諸表から取得します:

  • 営業利益: 損益計算書(PL)
  • 減価償却費: キャッシュフロー計算書 または 有価証券報告書の注記
  • 設備投資: キャッシュフロー計算書(投資活動)
  • 運転資本: 貸借対照表(売掛金・棚卸資産・買掛金の増減)

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